
チビちゃんの機嫌はぴょんの機嫌で決まるからね~
まだ息子が2歳のころ、帰省したときに妹からそう言われて以来、そうかもしれないとは思っていました。
が、それは気のせいではなかったことを知ったので、その情報をガッツリ共有します。
この記事を読んだ後は、二の次にしていた自分ケアの優先度が上がること間違いなし!
自分のハピネス(幸福)度は、子供のハピネス度にも連動する。

え~!
じゃあまずは自分が機嫌よく過ごすほうがいいに決まってる!
コルチゾール(ストレスホルモン)の親子連動
親子関係を「行動」だけでなく「脳・ホルモン・自律神経」まで含めて測定する。
そんな研究があるのを、ご存じですか?
生物行動学的シンクロニー理論を提唱するルース・フェルドマン(Ruth Feldman)教授(イスラエルのバル=イラン大学)は、そうした研究の第一人者です。
彼女の理論では、「親子は互いに独立した個人でありながら、視線・表情・声・身体動作・心拍・ホルモンが相互作用のなかで同期することがある」とされています。
そしてこの同期体験こそが子どもの情動調整・共感・社会性・愛着の発達を支える、といいます。
数ある彼女の研究のうちコルチゾール(ストレスホルモン)の研究では、母親のストレス反応が時間差で子どもにも連動すると確認されました。
母親が強い緊張状態になる→コルチゾールの上昇
↓時間差で…
子どものコルチゾールも上昇
※【コルチゾール】身体や心に負担がかかると分泌されるホルモン
出典:フェルドマン(2012):母子のコルチゾール連動(生物行動的同期)の研究(Feldman, 2012)
これは「共感ストレス(empathic stress)」的な現象といわれています。
逆に、母親がリラックスしていると子どものコルチゾール値も下がりやすいようです。

親の状態が子どもに伝染!
これはなにも母親に限った現象ではなく、父親と子どもの間でも同じ現象が見られると報告されています(フェルドマン(2020)の研究:レジリエンスとは, World Psychiatry)。
脳波の同期
親子間の脳波の同期についても、興味深い研究があります。
fNIRS(機能的近赤外線分光法)という技術を使ったハイパースキャン研究です。
母親と子ども(5〜6歳)が協力課題に取り組むときの脳活動をfNIRSで同時計測。
その結果、協力課題に取り組んでいる間、母子の脳波の同期が有意に高まることがしめされた(右半球、特に背外側前頭前野(dlPFC)で)。
同じ親子ペア内で独立課題(協力せず一人で取り組む課題)をした時と比較すると、協力的な交流そのものが脳波の同期を高めることが示された。
出典:ミラーら(2019):協力課題中の母子の脳波同期(fNIRS研究)(Miller et al., 2019)
同じ技術(fNIRS)を使用した別の研究では、親子の脳波の同期レベルが実際の行動とも相関していることが示されています。
4~5歳児とその母親116名を対象に、研究チームが開発した独自のフラストレーション課題を実施。
子どものストレス下(思い通りにいかない状況)と回復時(ストレスの後、親子で気持ちを落ち着かせる時)の両方で、親子の脳活動の同期を確認した。
出典:キニョーネス=カマチョら(2020):就学前の子どものイライラと親子の神経同期(Quiñones-Camacho et al., 2020)
このワシントン大学セントルイス校の研究結果で特に注目したいのは、
イライラ傾向の高い子どもほど、フラストレーション課題後の回復時に親との脳同期が弱かった
という結果です。
つまり、親子の脳がよく同期しているほど、子どもは嫌な出来事の後に感情を立て直しやすい可能性が示されたのです。

子どものイライラは親のイライラに繋がる。
もっと同期を強めることで子どもがイライラから早く抜け出してくれる(可能性がある)とは…!
有毒ストレスと脳の発達
これまでご紹介してきた親子のストレス連動とは少し違ったタイプの研究ですが、ストレス繋がりでとても興味深いので共有したいと思います。
有毒ストレスという言葉、筆者の造語ではありません(笑)
ハーバード大学の子供発達センターでは、「有毒ストレス(Toxic Stress)」という概念を提唱し、慢性的なストレスが子どもの脳の発達にどう影響するかを長年研究しています。
ちなみに、ここでいう「有毒ストレス」とは「慢性的で、しかも子どもを支える大人がいない状態で経験されるストレス」という意味です。
毒親から与えられるストレスではありません(念のため)。
慢性的に高いストレスホルモン(コルチゾール)にさらされると、子どもの脳の、特に前頭前野(集中力・計画性・衝動制御)と海馬(記憶・感情処理)の神経細胞の成長が阻害される可能性がある。
慢性的ストレス→扁桃体(恐怖や不安を処理)の過活性化
海馬の神経新生(新しい神経細胞の生成)を抑制
↓
学習能力・情緒の安定・実行機能(自分をコントロールする力)に長期的な影響を及ぼす可能性あり
出典:ハーバード大学(2012):過剰なストレスが発達中の脳の構造を損なう(ワーキングペーパー3)(Harvard Center on the Developing Child)
この研究が最も強調しているのは、「支えとなる大人の存在」こそが最大の緩衝材になるという点です。
「困ったときに応答してくれる大人がいる」という状態こそが重要。
メンタルだけでなく脳の発達にも影響があるとなれば、子どもの相談には積極的に耳を傾けようというモチベが上がりますね。
結論。親はイライラしはじめたら一息つくべし
ここまで読んでくださった方はもう、親子間でストレスや脳波の連動が起こっている可能性が高いと認識しているのではないでしょうか。
筆者はもちろんそう認識していますし、これまで共有してきた研究結果にとても関心を持っています。
「連動」ということは、親→子への一方方向ではなく、親⇔子の双方向で起こっている現象ということ。
変化をもたらすきっかけが親にあることもあれば、子どもにあることだってあるはずです。
ただ、子どもの感情をコントロールすることはできない。
でも親のほうは、上手く工夫してイライラを減らすことはできるかもしれません。
それが自分だけでなく子どもの感情にも繋がる(連動する)と知れば、自分を追い詰めて頑張り過ぎず、肩の力を抜いてみようかと思えるのではないでしょうか。

自分のことは後回しになりがちな子育て期間。
でも自分を大切にすることは、子どものためにもなる!
参考・出典(本文中にないもの)
※本記事は複数の研究をもとに筆者が整理・再構成したものであり、研究内容の正確な解釈については原著論文をご確認ください。

